Taku Sato
Choral Conductor, Ensemble Singer
“日本民謡の合唱史とその未来”を展望!
合唱曲になった民謡は数多く存在し、現在でも盛んに歌われています。一方で、「合唱の声で民謡を歌ってもいまいちしっくりこない」とか「民謡は難しいような気がして手を出しにくい」と考えている方も多いのではないでしょうか。この講座では、本当の民謡がどんなものであったのかを知り、民謡を題材とした合唱作品の歴史をたどりながら、現代においても民謡がアクティブであると感じられる演奏の在り方について学びます。小山清茂、柴田南雄、間宮芳生、松下耕、寺嶋陸也、信長貴富などの古今の合唱作品を聴き、民謡にふさわしい声と身体を追求する演奏家の実演も合わせて、“日本民謡の合唱史とその未来”を展望します。
【initium ; auditoriumシリーズ】
佐藤拓「日本民謡と合唱」~ 私たちは民謡をどう歌うか ~(全3回)
*2021年4月にzoomにて実施された、(株)コーラスカンパニーおよびinitium ; auditorium共催によるウェビナー形式の講座を再編集し、特典映像を加えたものです。
【講座内容と参考音源】
第1回では町田佳聲監修のLP-BOX「日本労作民謡集成」から数多くの録音を紹介し、現在聞かれる民謡が本来の民謡とはちょっと違っていること、常民が歌う民謡の「声」そのものの魅力を中心にお伝えしました。これらの貴重な音源は初めて聞かれる方も多かったようで、好意的な反響をたくさんいただきました。常民=“普通の人”の歌声に面白さ、カッコよさ、美しさがあることに気づいていただけたというのは大きな収穫でした。
日本の民謡は、幸い数多くの常民の歌声が録音で残されています。ただ、民謡を題材とした作品を歌う際、原典の常民の歌声を参照するということはあまりされてこなかったのではないか、という気がします。作曲家がこの常民の歌声から発想を得て作曲しているとしたら、演奏家はその転換の過程で生じる化学変化がどういうものだったか、注目すべきと思うのです。
過去のブログで、さまざまな民謡の録音について紹介しています。ぜひこちらも参照してください。
https://contakus.com/folksong/2020/08/post-689/
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第2回は、日本民謡が合唱作品として創作されてきた歴史を俯瞰する、あまり他では見たことがない「日本民謡合唱史」を構想してみました。
このために、日本人による民謡を題材とした合唱曲のリストを作成し、400作品以上をリストアップしました。年代ごとに作品を見ていくと、それぞれの時代における音楽界の動向や、「民族性」をめぐる議論、合唱界の国際化などの社会的状況の変化によって、作品数や取り上げられる民謡のジャンル、作曲の方法論が変化してくるのが分かりました。
◆信時潔「大島節」
https://rekion.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3571413
木下保指揮、東京音楽学校学生(1937年)
◆小山清茂「四つの仕事唄」より"酒屋唄”
https://youtu.be/CES6gwB3g3A?t=984
佐藤拓指揮、稲門グリークラブ(2011年)
◆小林秀雄「九州民謡によるコンポジション」より"キンキラキン"
https://www.youtube.com/watch?v=K7BFgLUmhmg
栗山文昭指揮、田中瑤子ピアノ、アンサンブル・ミニヨン(1977年)
◆柴田南雄「追分節考」
https://www.youtube.com/watch?v=Y9z_8YKfgjM
harmonia ensemble(2012年)
◆福島雄次郎「南島歌遊び」 その1版画 朝の祈り、憩い、陽気な娘たち
https://www.youtube.com/watch?v=evlx_9Bu8jM
半田市立成岩中学校(2015年)
◆松下耕「八重山・宮古の三つの島唄」より"狩俣ぬくいちゃ"
https://youtu.be/rsjPi1Df9Xk
Robert Sund指揮、JCA National Youth Choir(2019年)
◆寺嶋陸也「オホーツク・スケッチ」より"舟漕音頭"
https://www.youtube.com/watch?v=PJpPp0rBOes
藤井宏樹指揮、メンネルコール広友会(2009年)
◆信長貴富「東北地方の三つの盆唄」より"さんさ踊唄"
https://www.youtube.com/watch?v=NT-u3vDWkTY
村松玲子指揮、不来方高校、踊り:盛岡さんさ踊り清流
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第3回のテーマは民謡の「声」。現代の私たちが民謡をベースとした合唱曲を歌うときに、どういう発声で歌えばいいか、というのはこれまで多くの試みがなされてきていますが、いまだに決定的な定説は現れていないように思います。
逆説的ですが、そういった定説はこれからも存在しえない、というのがこの回の主張の根幹です。
それでもなお「民謡の声」と呼べるものはあると思っていますし、その声は「日本人の声」であるとともに、私たちが音楽するための最も基本的な声でもあると思います。
この回では、私が座長を務める常民一座ビッキンダーズの歌手3人が、常民の声をどのように想像して探索しているか、一つの方法を動画でお見せしました。重要なポイントは「身体性と律動」、「民謡が歌われていた環境」、「必然性のある声」、そして「生活感情と精神」です。
この回の最後は、私が尊敬する先達として、小山清茂、間宮芳生、柴田南雄、そしてわが師・森一夫の金言をご紹介しました。これらの言葉が僕を民謡に惚れこませ、歌うことの原動力となってくれています。
◆常民一座ビッキンダーズ 山に唄う
https://www.initium-auditorium.com/concert/7sbijZUYkvtcJFUvSygr
◆ビッキンダーズ山を想う(ライヴ演奏)
https://www.initium-auditorium.com/concert/Onun4a50pVJdy81kUNqx
“日本民謡の合唱史とその未来”を展望!
合唱曲になった民謡は数多く存在し、現在でも盛んに歌われています。一方で、「合唱の声で民謡を歌ってもいまいちしっくりこない」とか「民謡は難しいような気がして手を出しにくい」と考えている方も多いのではないでしょうか。この講座では、本当の民謡がどんなものであったのかを知り、民謡を題材とした合唱作品の歴史をたどりながら、現代においても民謡がアクティブであると感じられる演奏の在り方について学びます。小山清茂、柴田南雄、間宮芳生、松下耕、寺嶋陸也、信長貴富などの古今の合唱作品を聴き、民謡にふさわしい声と身体を追求する演奏家の実演も合わせて、“日本民謡の合唱史とその未来”を展望します。
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