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新作ピアノ組曲『Cookie Music』

石川潤

作曲家・石川潤が今回のために書き下ろしたピアノ小曲集の自作自演コンサート。クッキーの一かじりのように小さな夢を集めた小曲集となります。
「夢の大門」「賢者の教え」「光の歌」「金色の歯車」「賛歌」
5つのプリミティブな曲たちをぜひご賞味下さい。

「多楽章、それはクッキーミュージックだ」
真偽は定かではないが、シュトックハウゼンがそのように多楽章構成について皮肉ったとされるエピソードがある。前期中期では長大な一曲に一つのタイトルを与える傾向のある彼にとっては、一つのコンセプトを多楽章に分ける手法について思慮が浅いと考えていたそうである。
作曲者はこのクッキーミュージックというニュアンスに着目して作品を作り上げた。サブスクライブが浸透しているこの時代では、音楽がどんどん「短く」「簡潔に」なっていってると言われている。むしろ現代においてはこのクッキーのような気軽さこそが、時代の流れに沿っていると捉え、ややアイロニカルに思いつつもクッキーという言葉の可愛らしさにあやかってこのタイトルを選んだ。
しかしこの曲は、ある種の理論的な言い回しで言えば『調性的』なものである。作曲者はこの曲を作るにあたり、自分にとってもっともプリミティブな(原始的な)ものはなにかを考えながら作った。そしてその第一曲は中学生の頃作曲した音楽を用いている。
自分にとっての素朴な歌、ということをテーマに、5曲のさまざまな音楽を作曲した。

1. 夢の大門
中学生時代に作曲した音楽。夢の導入のイメージで作曲した。広い音域をまたいで残響のように跳ね返る低音が、仄暗く広い空間を映し出す。

2. 賢者の教え
古典的な風貌を持った音楽だが、一つ一つに多様性と変化を込めている。世界の生き字引となった賢者がいったい何を教えるであろうか。

3. 光の歌
数年前に作曲。木漏れ日のような穏やかな光を思わせる音使いだが、ほのかに高らかに流れるのはグレゴリウス聖歌のDies iraeである。作曲者は夢で天国に繋がる庭園を見たことがある。死と滅びは穏やかに、光に満たされて滅するのだろうか。

4. ⾦⾊の⻭⾞
チェンバロ曲を思わせるような音使いで作られたメカニックなスケルツォ。規律正しい勤勉さと物憂げな表情を両方とも持つ音楽である。

5. 賛歌
とても率直な賛歌。穏やかに光を湛えながら全てへの賛美が歌われる。

Program

Total
32:29

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新作ピアノ組曲『Cookie Music』

石川潤

作曲家・石川潤が今回のために書き下ろしたピアノ小曲集の自作自演コンサート。クッキーの一かじりのように小さな夢を集めた小曲集となります。
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