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バロックチェロ×モダンチェロ

北嶋愛季

ドイツでバロック音楽・現代音楽を学び、日本と欧州で活動するチェリスト北嶋愛季が、バロック音楽をバロックチェロで、近・現代音楽をモダンチェロで演奏する。

バロック音楽からは、J.S.Bach作曲、無伴奏チェロ組曲第3番から抜粋。

現代音楽からは、「仮想音楽家レジデンス」またその第2弾「仮想音楽家レジデンス・アカデミー」という作曲家・渡辺裕紀子がコロナ禍の中で立ち上げたプロジェクトより3人の作曲家から生まれた、チェロ独奏のための作品。

このプロジェクトは若手作曲家育成を目的に行われるオンラインのプロジェクトであり、一定の期間を新しい作品を作るための創作レジデンスと仮想し、作曲家がプロフェッショナルな演奏家と交流し実地で学びながら、一緒に作品を作り上げていく。最終的に出来上がった作品は8月1日から9月30日までYoutubeで配信、SNSでシェアされている。
https://note.com/yukikocomposer/n/n6962438885f3

近代音楽からはチェロ独奏の名曲、ガスパール・カサド作曲、無伴奏チェロ組曲第3楽章。

渡辺裕紀子氏との対談、更にそれぞれのチェロ、弓の弾き比べも交え、チェロの魅力に深く切り込む意欲的なプログラムとなっている。

Johann Sebastian Bach (1685-1750): Allemande aus der Suite für Violoncello Solo BVW1009 Nr.3 C-Dur
ヨハン・セバスチャン・バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調より アルマンド

1717年から1723年まで、ヨハン・セバスチャン・バッハは、レオポルド・フォン・アンハルト・ケーテン侯の宮廷楽団の楽長であった。 このチェロ独奏のための6つ組曲は、おそらく1720年頃に作曲された。バッハはケーテン時代にブランデンブルク協奏曲、イタリア協奏曲、フランス組曲も生みだしている。

無伴奏チェロ組曲、ブランデンブルク協奏曲とフランス組曲はどれも全6曲、イタリア協奏曲は全3楽章。これは、この時代に3の倍数が好まれた影響を示している。

バッハはおそらく、最初に4つの組曲を書いた。これは、ケーテンのガンバ奏者であったクリスチャン・フェルディナンド・アベル、またはおそらくクリスチャン・ベルンハルト・リニッケのために書かれたと思われる。アベルがチェロも演奏したかどうかは不明だが、リニッケは優れたチェリストで、1716年にケーテンの宮廷礼拝堂のチェリストとして活動している。

バッハの死後、チェロ組曲は忘れられてしまっていた。創作から約100年後の1824年に、この組曲はパリで最初に印刷されたが、作曲者不明として出版されている。
当時、演奏家はこの曲をエチュードとして演奏していた。この組曲を再び音楽的価値のあるものとして演奏し、世に広めたのは、20世紀最大のチェリストといわれるパブロ・カザルスであった。

現在ではプロ・アマ問わず、チェリストが一生をかけて取り組む作品である。

「アルマンド」
フランス語で「ドイツ風」「ドイツの踊り」。ドイツの民族舞踏がもととなっている。16世紀ごろからフランス・スペイン・オランダ・イギリスにも広まる。
バロック後期、16分音符のステップ、アウフタクトがあり、速いテンポのアルマンド(アラ・ブレーヴェ、2拍子)と遅いアルマンド(4/4拍子)に区別される。

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Johann Sebastian Bach (1685-1750): Gavotte aus der Suite für Violoncello Solo BVW1009 Nr.3 C-Dur

ヨハン・セバスチャン・バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調より ガヴォット

「ガヴォット」
歴史的な社交ダンス、アラ・ブレーヴェ(2拍子)で、二分音符分のアウフタクトがあり、多くは2部に分かれている。
活気があり、喜ばしさを感じさせる舞曲。バロック時代に洗練され、いくぶん高貴さとエレガントさが加わった。

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バロックとモダンチェロの解説、弾き比べ。

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バロック・ボウ、モダン・ボウの解説、弾き比べ。
それぞれの楽器と弓の、特性と響きの違いをお楽しみ下さい。

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北條立記:プロローグ-2

「仮想音楽家レジデンス」で生まれた作品。

北條立記/Tatsuki Hojo
作曲家、チェロ奏者。前衛音楽とロマン主義の作風による芸術音楽を、即興を素材に制作している。アートミュージック(≒現代音楽)の作曲、free musicの即興、クラシックの演奏を行う、チェリストコンポーザーとして活動している。「Autumn Cafe Ⅱ」(2018)により、JILA音楽コンクール作曲部門入賞。「浜口陽三へのオマージュ」(2019)により、国際芸術連盟新人オーディションにて現代音楽特別賞を受賞するも、披露コンサート辞退により取り消される。

「プロローグ-2」
チェロの即興演奏における即興的思い付きを書き留めた上で、整えた曲。全体的には、スタティックなところと、心臓や息が一瞬止まるようなイメージのところを混ぜることで、緊迫感を出そうとした。

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井上莉里:ブーメラン~チェロのための~

「仮想音楽家レジデンス・アカデミー」で生まれた作品。

井上莉里/Riri Inoue
1999年東京生まれ。
4歳より桐朋学園大学音楽学部附属「子供のための音楽教室」仙川教室に入室し、ピアノやソルフェージュを学びつつ、11歳より副科作曲の第一期生として作曲を始める。
桐朋女子高等学校音楽科ピアノ科を経て、現在桐朋学園大学音楽学部ピアノ専攻、作曲副専攻3年在学中。
作曲を三瀬和朗氏に師事。ピアノを奥田佳世子氏、中井恒仁氏に師事。
ジャンルに捉われず幅広く作曲している。
ピアノ、作曲ともにコンクール受賞多数。

「ブーメラン~チェロのための~」
一音から始まる音が派生していき、色々な音をめぐりまたその一音に戻ってくるというようなイメージです。そして、チェロの音域の高い部分を冒頭から使い不安定さを出しました。どんな不安定さがあっても必ずその一音に戻ってくるということをイメージしています。

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酒井 良晃:チェロソロのための『風の先端』

「仮想音楽家レジデンス」で生まれた作品。


酒井 良晃/Yoshiaki Sakai
栃木県出身、2012年から活動拠点をベルリンに移す。
ブラックミュージックから音楽を始め、ベーシストとして、ジャズの演奏、同時期に作曲、電子音楽の制作を始める。
影響を受けた音楽が、ファンク、レゲエ、ヒップホップ、ジャズ、ゲーム音楽、ハウス、テクノ、クラシック、民族音楽、現代音楽。影響をうけた主な作曲家は、マイルス・デイビス、YMO、バルトーク、リゲティ、クセナキス、武満徹。
フリーランス作曲家、電子音楽家として、ヨーロッパを中心に作曲、演奏活動を行っている。
現在は主に、クセナキスの作曲技法を研究中。ミクロな視点で構成された音と、生活の音の間を模索中。

「チェロソロのための『風の先端』」
この曲は、世界を巡る風に着想を得て作曲しました。
風の流れは冷たい側から、暖かい方へ。上空から地上へ、海から陸へ流れます。その循環をチェロで描きました。
前半部分は、ハーモニクスの持つ独特の揺らぎで、音自体は若干抽象的ですが、メロディーがあるので掴みやすいです。
逆に後半部分は実音で具体的な音になりますが、描く音は抽象的になっています。

みなさんが、風をイメージしていただけたら幸いです。


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対談「北嶋愛季 × 渡辺裕紀子」

仮想音楽家レジデンス
https://note.com/yukikocomposer/n/n7c05cda28350
仮想音楽家レジデンス・アカデミー
https://note.com/yukikocomposer/n/n6962438885f3

主宰:渡辺裕紀子/Yukiko Watanabe(作曲)

幼少期より作曲・ソルフェージュを原田敬子氏に、ピアノを花岡千春、間宮芳生各氏に学ぶ。桐朋学園大学卒業後、渡欧。ベアート・フラー、ヨハネス・シェルホルン氏のもと、研鑽を積む。異国の地で生活した経験をもとに、物の二面性や多義性に着目し、創造的多様性をキーワードした作品を作っている。書かれた作品は器楽曲やオーケストラのための音楽、一般人参加型のパフォーマンス作品や日用品オブジェクト作品、テキストや映像、または人の記憶を用いた作品など、多岐に渡る。

主な賞歴:野村国際文化財団、ロームミュージックファンデーション、オーストリア若手作曲家<Ö1 Talentebörse-Kompositionspreise>、同時に作品がUniversal Editionから出版。2013年文化庁新進芸術家海外研修員、International Ensemble Modern Academy奨学生、ドイツシェッピンゲン芸術村招待作曲家、カナダ・モントリオール・ゲーテ・インスティテュート派遣作曲家。

2017年より、若手音楽家のために新しい場所を提供するために結成されたProject PPPのアーティスティック・ディレクターを務める。

【仮想音楽家レジデンス・アカデミー】
若手作曲家育成を目的に行われるオンラインのプロジェクト。2020年6月1日~7月31日までの二か月間を新しい作品を作るための創作レジデンスと仮想し、若手作曲家がプロフェッショナルな演奏家と交流し実地で学びながら、一緒に作品を作り上げていく。
8月1日から9月30日まで出来上がった作品がYoutubeで配信、SNSでシェアされている。

Youtube
https://www.youtube.com/channel/UCb9bvkZD0B88XefF8XEzKpw

プロジェクトを応援してくださるサポーターの方は、この記事をご購入ください(390円)。頂いた寄付は、プロジェクトのための資金とさせて頂きます。どうぞよろしくお願い致します。

https://note.com/yukikocomposer/n/n7c05cda28350

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Gaspar Cassado (1897-1966): 3rd Movement from Suite for Violoncello Solo (1926)
ガスパール・カサド:無伴奏チェロ組曲より第3楽章

カサドはバルセロナの教会音楽家の家庭に生まれ、5歳で父からチェロの手ほどきを受ける。
1907年彼は父とパリに移り住み、そこで20世紀最大といわれるチェリスト、パブロ・カザルスの愛弟子となる。また、マヌエル・デ・ファリャやモーリス・ラヴェルに作曲を学ぶ。

演奏家としてのキャリアは、第一次世界大戦後に始まり、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮者)、ダヴィット・オイストラフ(ヴァイオリン)、ムスティスラフ・ロストロポーヴッチ(チェロ)などとも共演している。

さらには、同年代の作曲家作品にも積極的に取り組んでいる。 パウル・ヒンデミット、マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ、ボフスラフ・マルティヌー、ルイージ・ダッラピッコラなどの作品を演奏している。

また後進の指導にも力を注ぐ。彼の弟子には、ラドゥ・アルドゥレスク、ロハン・デ・サラーンなどがいる。

作曲家としては、この無伴奏チェロ組曲、チェロソナタ、チェロ協奏曲、3つの弦楽四重奏、ピアノ三重奏などを作曲している。多くはカタルーニャの情緒とクラシック音楽が見事に融合された作品である。また、W・A・モーツァルト、フランツ・シューベルトなどの作品を、チェロとオーケストラのために数多く編曲している。

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30:17

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バロックチェロ×モダンチェロ

北嶋愛季

ドイツでバロック音楽・現代音楽を学び、日本と欧州で活動するチェリスト北嶋愛季が、バロック音楽をバロックチェロで、近・現代音楽をモダンチェロで演奏する。

バロック音楽からは、J.S.Bach作曲、無伴奏チェロ組曲第3番から抜粋。

現代音楽からは、「仮想音楽家レジデンス」またその第2弾「仮想音楽家レジデンス・アカデミー」という作曲家・渡辺裕紀子がコロナ禍の中で立ち上げたプロジェクトより3人の作曲家から生まれた、チェロ独奏のための作品。

このプロジェクトは若手作曲家育成を目的に行われるオンラインのプロジェクトであり、一定の期間を新しい作品を作るための創作レジデンスと仮想し、作曲家がプロフェッショナルな演奏家と交流し実地で学びながら、一緒に作品を作り上げていく。最終的に出来上がった作品は8月1日から9月30日までYoutubeで配信、SNSでシェアされている。
https://note.com/yukikocomposer/n/n6962438885f3

近代音楽からはチェロ独奏の名曲、ガスパール・カサド作曲、無伴奏チェロ組曲第3楽章。

渡辺裕紀子氏との対談、更にそれぞれのチェロ、弓の弾き比べも交え、チェロの魅力に深く切り込む意欲的なプログラムとなっている。

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